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北欧テイストとは?文化的背景から北欧デザインを深く理解

住まい・建築について 2025.1.15

アースカラー、木、ファブリックでまとめられた北欧テイストの空間イメージ 北欧の森

シンプルでデザイン性に優れていることから、日本でも人気を誇る「北欧テイスト」の部屋づくり。
本格的な北欧テイストを追求するには、背景にある北欧の暮らしや文化まで理解する必要があります。

今回は、北欧テイストの基本原則と、それをもたらした地理的・文化的な背景をご紹介します。

北欧テイストとは?基本となる5つの原則

豊かな自然を望む、アースカラーとホワイトを基調にした北欧テイストの寝室 北欧の森

北欧とは、一般的にヨーロッパ北部に位置するスウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマークの4ヶ国(アイスランドを含むこともある)を指します。これらの国々でよく用いられるデザインテイストを「北欧テイスト」と呼びます。

空間の内装デザインやインテリアを本格的な北欧テイストに仕上げるには、次の5つの基本原則を押さえるようにしましょう。

(1)自然モチーフのデザインを採り入れる

スウェーデン・ノルウェーが位置するスカンディナビア半島やフィンランドは、バルト海や北海に面しており、海と湖、森林からなる豊かな自然環境が特徴です。
トナカイに代表される野生動物も多く生息しており、この地域の人々は、昔から自然と共存しながら暮らしてきました。

そのため、森林や湖、動物などの自然をモチーフにしたデザインをインテリアに採り入れると、北欧らしい空間を演出できます。

(2)グレイッシュなアースカラーを使う

土・空・雲・森林などを思わせるアースカラーが用いられるのも、北欧テイストの特徴です。

北欧でアースカラーが好まれるのは、高緯度に位置していて冬の陽が短いため、家で過ごす時間が必然的に長くなるから。やがて来る春を心待ちにしながら、自然の気配が感じられる室内で過ごすのです。

また、長時間いる室内で明るく楽しく過ごせるよう、遊び心としてアクセントカラーを採り入れるのも北欧らしさです。アクセントカラーは、単に鮮やかな色を選ぶのではなく、自然素材との相性がいいグレイッシュな色を選ぶといいでしょう。

(3)木材とファブリックをふんだんに使う

昔から豊富な森林資源を有効活用してきた北欧では、今でも建築やインテリアに木材がふんだんに使われます。本格的な北欧テイストを目指すなら、木でできた建具や家具は必要不可欠です。

できるだけ木の持つ本来の質感や木目を感じられるよう、無塗装やオイル塗装仕上げのアイテムを選ぶのがおすすめ。
木製ロフトはしご無垢の羽目板フローリングは北欧テイストとの相性が抜群です。

北欧で木材とあわせて多用されるのが、鮮やかな柄のファブリックです。冬の寒さをしのぎ、室内の雰囲気を高めるのが目的ですが、北欧テイストのアイコンにもなっています。

(4)シンプルで実用的なデザインを採り入れる

北欧テイストは「室内の時間を豊かなものにすること」に重きを置くのが特徴です。そのため、シンプルで実用的なデザインが好まれる傾向にあります。

シンプルでありながら、洗練されたおしゃれさと実用性を兼ね備えるアイテムやインテリアは、日常の暮らしを便利で快適なものにしてくれます。
流行に左右されないデザインと機能性から、長く使い続けられるのも魅力です。

(5)照明演出にこだわる

冬の日照時間が短い北欧の住まいにおいて、室内を明るく照らしてくれる照明演出は大切なポイント。
ランプシェードを通した多灯照明は、ダイレクトな強い光ではなく、自然光を彷彿(ほうふつ)とさせるやさしい光を届けてくれます。

多灯照明とは、1つの照明で部屋全体を照らすのではなく、いくつかの照明を組み合わせて明るさを演出する方法です。

場所ごとに照明の風合いを変えて、空間の役割や雰囲気をゆるやかに分けると、いっそう北欧らしい空間に仕上がります。

北欧テイストが形作られた地理的・文化的な背景

はるかに広がる森林と湖沼を望む、自然豊かで雄大なスカンディナビア半島の風景 北欧の森

上で紹介した5つの基本原則が形作られたのには、地理的・文化的な背景があります。北欧テイストや北欧デザインの根底にある考えについて理解を深めていきましょう。

冬の陽の短さと家にいる時間の長さ

先述のとおり、高緯度にある北欧は冬の日照時間が短くなります。

一例として、東京・コペンハーゲン(デンマーク)・ストックホルム(スウェーデン)における、2024年冬至(12月21日)の日の出と日の入りの時間を比較してみましょう。

2024年12月21日の日の出/日の入り

  • 東京
  • 日の出:6時46分/日の入り:16時31分(日の長さは9時間45分)
  • コペンハーゲン(デンマーク)
  • 日の出:8時36分/日の入り:15時39分(日の長さは7時間3分)
  • ストックホルム(スウェーデン)
  • 日の出:8時41分/日の入り:14時50分(日の長さは6時間9分)

ストックホルムでは、東京よりも3時間半以上、昼の長さが短いことがわかります。
よって、家にいる時間が必然的に長くなります。

長い室内での時間を楽しく過ごすため、デザインや照明にこだわる文化が育まれてきたのです。

高い森林率と「フリルフスリフ(Friluftsliv)」

北欧4ヶ国の中でも、特に北側の3ヶ国は森林資源が豊富です。
森林率(国土面積に占める森林面積の割合)は、フィンランド73.7%、スウェーデン68.7%で、OECD加盟国中トップ1・2を占めています。

フィンランド、スウェーデン、ノルウェーの3ヶ国は、産業用の丸太や製材の輸出量が世界有数であり、木材をふんだんに使う文化が根付いています。

自然豊かな北欧では、古くから自然と共存する考え方が主流。「フリルフスリフ(Friluftsliv)」と呼ばれるライフスタイルが重視されてきました。
ノルウェー語で「自然と寄り添い、ありのまま暮らす」という意味の生き方が、北欧テイストにも色濃く反映されているのです。

資源の少なさによる伝統と工業化の融合

北欧テイストが形成されたのには、歴史的な背景も関係しています。

18世紀後半のイギリスにおける産業革命以降、全世界へ広がった工業化の波は、北欧にも押し寄せます。
しかし、当時の北欧諸国は資源に恵まれず、他国に比べて工業化の広まり方がゆるやかでした。資源や人材頼りの大量生産ではなく、伝統文化と工業化を融合する独自の発展を遂げていったのです。

特にデンマークでは、伝統的な木やファブリックの技術を採り入れたデザイン家具の名作が多く生まれます。これがアメリカ市場で人気を集めたことから、デンマークは今もなお「デザイン大国」として世界的に名高い存在となっています。

まとめ

日本で人気の「北欧テイスト」ですが、本格的な北欧らしさを演出したいなら、テイストが形作られた背景にある気候や文化、歴史にも目を向けたいところです。
北欧の豊かな自然と人々の「フリルフスリフ」なライフスタイルに思いを馳せながら、理想の北欧暮らしを目指してみてはいかがでしょうか。