寸法安定性が抜群。「サーモウッド」の魅力
樹種について 2024.6.17
#北欧の森 #無垢フローリング
木材を探しているときに、「サーモウッド」という種類を見たことはありませんか?
スギやヒノキのような樹種だと勘違いされることが多いのですが、実は樹種ではなく、処理方法からその名で呼ばれています。
今回のコラムでは、サーモウッドの魅力や注意点をお伝えします。
ぜひ木材選びの参考にしてください。
サーモウッドとは?
まずはサーモウッドがどんな木材なのか、製造方法などの基本を説明します。
高熱乾燥処理を施した木材のこと
サーモウッドは、フィンランドで開発された熱と水を使う木の処理方法です。
前述のように樹種ではないため、パイン、アスペン、スプルース、バーチなどが高熱乾燥処理されると、すべてサーモウッドと呼ばれます。
熱と水のみで加工された、化学物質を含まない人と環境にやさしい素材として注目されている素材です。
サーモウッドの製造工程
サーモウッドの製造工程は、乾燥・熱処理・冷却の3段階です。
まずは木材を約100℃前後の専用装置の中に投入して乾燥処理を行い、乾燥したら200℃前後に温度を上げてスチームで熱処理を。
熱処理が終わったら水蒸気をふきかけて、冷却しながら湿度を調整します。
工程を見るとわかるように、無処理の木材と比べてとても手間がかかっているのです。
サーモウッドが適している場所
サーモウッドが主に使われるのは、耐久性や防腐性の高さを活かせる、ウッドデッキ、ウッドフェンス、ルーバー、サウナ、外壁などです。
また、室内のアクセントとして天井に施工したり、ギターのボディに使ったりすることもあります。
赤褐色の見た目はアクセントにはうってつけですが、サウナに入ったときに感じる、少し焦げたような、独特な香りがします。
この香りを“いい香り”と思うか、“苦手な香り”だと感じるのかで好みが分かれるため、室内や家具に使う場合は要注意です。
サーモウッドの特徴
サーモウッドは耐久性や防腐性に優れているとお伝えしましたが、ほかにもさまざまな特徴があります。
寸法安定性に優れている
木材に起こる反りやゆがみには水分量が影響し、水分が多く含まれているほど柔らかく、少ないほど頑丈になります。
含まれている水分の割合を「含水率」といい、変形が起こりづらくなるのは15%以下とされています。
【コラム】木材には水分が含まれている。含水率はどう影響する?
屋外の乾燥では含水率15〜18%が限界ですが、サーモウッドは熱処理工程を経ることで4〜7%まで水分量を減らせます。
含水率がとても低いため、耐久性と同時に寸法安定性にも優れているのです。
断熱性が高い
サーモ処理によって含水率が低くなると、同時に熱伝導性も低くなり、熱が伝わりにくくなります。
住宅の外壁に使用すると外気の影響を受けづらくなるため、高い断熱性を確保できる点がメリットです。
化学物質が使われていない
熱と水のみで高熱乾燥処理を行うサーモウッドは、薬剤や塗料が一切使われていません。
化学物質が発生する心配がないので、住宅内やサウナのような密室にも安心して使えます。
使用するときはもちろんですが、化学物質が含まれていない木材は廃棄時の処理もしやすく、環境負荷を軽減できるというメリットもあります。
【コラム】住宅に発生する化学物質とは?人体に与える影響と対策
紫外線の影響で変色しやすい
木材は紫外線によって日焼けしますが、サーモウッドはとくに太陽光に弱い素材です。
長期にわたって紫外線が当たり続けると、きれいな褐色から灰褐色に退色してしまいます。
とくにウッドデッキ、ウッドフェンス、ルーバー、外壁のように日差しを直に受ける部分に施工すると、あっという間に色が変わってしまうでしょう。
退色対策としては、
- サーモウッド専用の塗料を塗る
- サンドペーパーまたはサンダーで表面を削る
などがあります。
退色を事前に防ぐためには、紫外線遮断効果のあるステイン塗料が効果的です。
ただ、灰褐色の色味を“味”ととらえる方も多いので、実際に色が変わってみなければ、その色味をどう感じるのかはわかりません。
「実際に色味を見てから判断したい」という方は、褐色に戻したいときにサンドペーパーやサンダーを使って表面を削ることをおすすめします。
価格が高い
無処理の木材よりも加工に手間がかかっているサーモウッドは、高価な点がデメリットです。
外壁のように施工範囲が広い場所に使うと、高額な費用がかかってしまいます。
費用面を考えるのであれば、ウッドデッキやウッドフェンス、ルーバーのような、一部分のみへの施工が良いでしょう。
まとめ
耐久性や寸法安定性に優れ、防腐性能や耐朽性も備わっているサーモウッドは、屋外設備におすすめの素材です。
ノンケミカルで安心して使えるのもうれしいポイントです。
しかし、他の木材と比べて紫外線に弱く、灰褐色に退色しやすい点や、高価な点はデメリットと言えるかもしれません。
今回紹介した特徴を、ぜひ木材選びに役立ててくださいね。
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