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住居に床が登場したのはいつ?歴史とともに振り返る

床材について 2024.6.20

私たちは普段、当たり前のようにフローリングや畳の上で生活していますが、いつから床の上で生活するようになったのか、ふと疑問に思うことはありませんか?
数千年前は、土の上に藁や板を敷いて生活していたと歴史の教科書で見たことはあっても、どのタイミングで畳やフローリングが登場したのかは、意外と知らないのではないでしょうか。

そこで今回のコラムでは、日本の時代背景とともに床の歴史をお伝えします。

住居に床が誕生したのは平安時代

古民家に深みのある縁側と木製窓が反射している。北欧の森

日本の住居に床が誕生したのは平安時代だといわれていますが、実は床を使った建物は、それ以前に存在していました。

床のルーツは高床式倉庫から

歴史の教科書で一度は目にしたことがあるであろう、縄文時代の「高床式倉庫」。
穀物のように衛生管理が必要なものや、農具や武器などの貴重なものを、ホコリや湿気、害獣からの害を防ぐために地面から1mほど浮かせて作られた建物です。

建物を浮かせるために作られた床が、日本で初めての床の誕生だといわれています。

町家に取り入れられたのが、住居における床のはじまり

高床式倉庫の登場後も、その後しばらくは土の上での生活が主で、寝所だけは土に触れないように高く作り、板を敷いていました。
その生活が変わったのは、平安時代に入ってからになります。

平安京内に「町家(まちや)」という、店舗兼住宅が登場したことがきっかけです。
入口と室内がフラットだった竪穴式住居とは違って、土間から一段上がった部分に生活空間を設ける建物へと変わり、床が取り入れられるようになりました。

同時期に畳も使われるように

町家と同時期に登場したのが、畳です。
実は、奈良時代に作られた古事記内にも畳を思わせるものは登場していましたが、私たちが畳と認識できる形になったのは、平安時代だといわれています。

平安貴族が住んでいた寝殿造りの板敷きの間に、寝具や座具として部分的に畳が置かれるようになったのです。
大河ドラマや歴史映画などで、貴族が置き畳の上に座っているシーンを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

鎌倉時代に入ると和室が登場

鎌倉時代より畳を敷き詰めた和室がある。北欧の森

鎌倉時代に入ると、畳を敷き詰めた「和室」が初めて登場しました。

書院造りの建物が増えて、和室が主流に

貴族中心だった平安時代から、武家の世へと移り変わった鎌倉時代。
当然ながら文化も変わり、建物も寝殿造りから書院造りという個室をしつらえたものへと変化しました。

この時に登場したのが、室内に畳を敷き詰める和室です。
書院造りの登場から、部分的にしか使われていなかった畳が室内全体に敷き詰められるようになり、畳の上での生活が浸透していきました。

江戸時代には和室が書見の間にも広がる

鎌倉時代に和室を取り入れたのは武家ばかりでしたが、天下泰平といわれる江戸時代に入ると、庶民の暮らしにも和室が取り入れられるようになりました。

書院造りの建物だけではなく町家にも和室が作られ、武家本来の書院造りの形式をアレンジした、和風住宅が庶民の間に広がっていったのです。

明治維新後に西洋建築が広まる

白基調のリビングにナチュラル色のフローリング。北欧の森

板敷きから和室、和室からフローリングへと変わったのは、倒幕から文明開化の幕開けともいえる、明治維新の直後でした。

寄木張りの洋館が建築される

文明開化直後の日本には、制度や習慣だけではなく、西洋建築も取り入れられるようになりました。
その際に人気を博したのが、無垢材の小片を縦横の模様のように張った「寄木張り(よせぎばり)」です。
この頃から、板張りの床を「フローリング」と呼ぶようになりました。

ただ、西洋建築が流行ったといっても、すべての洋館にフローリングが取り入れられたわけではありません。
畳の上にダイニングテーブルを置くこともあり、洋と和の文化が混在していたのです。

戦後には板敷きが主流に

明治維新直後は洋館が増えたものの、庶民が暮らす家は日本家屋が主流。
畳の上にちゃぶ台を置き、座布団に座って食事をとるスタイルが続いていました。

しかし、そんな和室文化も戦後から少しずつ変わっていったのです。

戦争によって日本では多くの住宅が焼けてしまい、住居不足を解消するために公営住宅法が制定され、戦後はコンクリート造のアパートがたくさん建てられました。
その間取りは居間を中心としていて、フローリングが中心。
ダイニングテーブルで食事をとり、リビングでくつろぐという現代に近い間取りが確立されたのです。

それをきっかけに、高度経済成長期ごろから一戸建て住宅でもフローリングを取り入れた住宅が一気に増えていきました。
そして昭和後期になると、リビングとダイニング+キッチンを分けていた間取りから、すべてを同じ部屋にまとめるLDK(リビング・ダイニング・キッチン)が主流に。
LDKに隣接するように、補助的に和室を設ける間取りが増えていったのです。

まとめ

床には長い歴史があり、時代の文化や流行、家族の在り方によって板敷き、畳、フローリングと、時代に合わせて変わっていったことがわかりました。

床がその時代のライフスタイルとともに変わってきたように、家づくりで床材を選ぶときは「どのような暮らしをしたいのか」「どのようなテイスト(文化を反映した)家にしたいのか」などから決めるとよいでしょう。

ぜひ今回学んだ雑学を、ぜひ床材選びにも活かしてくださいね。